2005年12月28日

『暗黒館の殺人 上・下』 綾辻行人 / 講談社ノベルス

久し振りの館、大喜びで買ったんだけど1年以上積ん読してました。
ちょっとずつ読み進めて、今回V6の握手会待ち中に上巻の後半300Pほどを読み終わり、結果この旅最大の愚行を。
つい本屋に飛び込んで下巻を買ってしまった…。
旅先で弁当箱を重箱にしてどうするよ…。
まぁバッグの縫い目は臨界点に達しましたが帰りの4時間があっという間で良かったや。で帰宅して荷解きもせず読了。

暗黒館の殺人 (上) 暗黒館の殺人 (下)

ちとあの“視点”関係の描写には閉口しました。
基本的にミステリにオカルトの風味を混ぜ込むのは好きでない。
館だけどちょっと囁き入ってるって噂は聞いてたので、まぁ覚悟はしてたけど。
囁きは1〜2回ずつしか読んでないです。館の某作も、霧越邸も。(『殺人鬼』は『小説推理』連載1回分読んだだけで3日肉食えなくなったヘタレ)
それから、視点がころころ変わるのはちょっと苦手。そういうのをとっても上手に書く作家さんもいるけど、これに関しては、視点を変えるためだけにこりゃまたずいぶん大仰な描写を…って感じでした。あとからまた別の感想を持ちましたが。
まあでもやっぱり文章は読み易くてぐいぐい進むし、あの雰囲気は大好き。館の集大成って感じで、十角キター藤沼一成キター古峨精計社キター宮垣葉太郎キターとかうきうき読んでたんですが。

私はミステリ読みとしてはかなりオツムのレベルが下のほうだと自認しています。
そもそも犯人を当てたりトリックを解き明かそうと思って読んでない。事件が起こったりそれが解決されたりする描写が好きなの。完全に観客として、カタルシスを得たいわけですな。
さらに暗黒館は、前の館を何年も読み返していない状態で読みました。

とういうわけで、以下狂おしいほどにネタバレ










うがああああうごおおおごあああああ!!!!
そんなんアリーナ! おい綾辻!

くっやっし〜。
何が悔しいって、気づこうと思えば気づけたはずなんだ。
私にもう少し注意力があれば。せめて十角館だけでも読み返してから読めば。ああ。うう。くそ。

綾辻さんの本格物って、伏線の張り方が優しいと思うんだ。
私のようなレヴェルの読者でも、糸の切れ端はぽつぽつ拾うことができる。
今回もそりゃいろいろ「ん?」ってとこあったさ。言葉を借りれば『齟齬』ですね。
『間奏曲 六』で羅列されていること半分以上拾いきれてなくて、かなり自己嫌悪に陥りましたが。
繰り返し出てくる18年前の『あのご時世』やら『社会情勢』なんかもそりゃ気になったけど、「えーとオイルショック?」ぐらいに…。
『大破した車』というのはおかしいと思ったし。
あと、市朗の家は江南孝明が道を尋ねた雑貨屋のはずなのに、「浦登様のお屋敷に近づくな」と言い聞かせていた者として、父ではなく祖母しか出てこないところとか。
しのぶの実家が雲仙だという話が出たのに噴火の話題にならないところとか。
佝僂なんて病気の知識がパッと出てくるなんて中也物知りだなぁと思ったし。いまどき『感冒』って、とも思ったし。
目の付け所が微妙だな私……。昔からそうなんだ。
迷路館ネタバレ→「生理の血じゃないの?」って思ったんだけどスルーしてしまった。読後検討会で姉が「この人、性別は?」と思ったと知り、足したら正解だったのに!と悔しがったものだ。

ミステリって最も「注意しながら」「記憶に刻みながら」読むべきものだと思うんだけど、私はそれをしないんだなぁ。だって雰囲気が楽しくて楽しくて続きを読みたくて読みたくて…。

聡い人はかなり早い時点でほとんどの真相に気づいたんじゃないの?
「中也は青司なのでは?」ってアクセスがいちばん簡単か。相当、ヒントあるものね。中也の経歴――大学、実家、弟、幼馴染の許嫁…。

時間が『現在』ではない、集大成ではなく始まりなのだということにさえ気づけば、『江南』が私たちの知る『江南孝明』ではないと知れるし、するとこいつが俄然怪しくなってくる。
またそうすると、“視点”の主=ボールド正楷書体の思考の主が江南孝明であることも簡単に察せられるわな。「でもそんなんアリ? このノリならアリか」って思いながら読んだのかな。
さらに踏み込んで江南=忠教と気づいた人もいるんだろーか。
何ていうか、登場人物の表で諸居母子の名前って浮いてるじゃない。それは何かあるなーとは思ってたんだけど。
でも忠教/玄児の入れ替わりまでは読めないよね! そこでびっくりできたよね! 良かったね!

この作品の中心となる時代に起こった殺人についても、その18年前に起こった殺人についても、まぁ納得できる筋書きで、それはホントいいんですが。
やっぱどうしても“視点”が胸くそ悪いなぁ。
館で、しかも江南くん使ってこういうのって……何じゃあそりゃあ!! って思いますどうしても。
だからある程度の満足感は得られたけど…って感じかな、総評は。

ただ、館の通奏低音である『中村青司』を、こういう形で――彼の一人称で読めたことには、いまとてもときめいている。
この時点では結構普通で。言動も人間らしくて可愛げがあって。しかもなかなかの美青年くさい。
これから全館読み返すつもりだけど、違った楽しみ方ができますね。
でも「実は生きてる」はやめてね(笑)。それじゃホントにオカルト。
浦登ダリアが森博嗣作品における真賀田四季みたくなるのもちょっとな。

暗黒館関連の人物は今後また登場するんでしょうか。
『家人』で『医師』、そして『彼』であるのは誰なのか。
早期老化症は現代でも原因不明の難病で、清であるとは考えにくい。美鳥が婿を取ったか? それとも玄児が生きているのか。
『生ける影』は誰なのか。まさか、まさか、いくら何でも。慎太ということも考えられるか?
イヤーな感じが残るラストでした。

つーか『今後』っていつ!
もっと館を読みたいぞ〜。
posted by あーこ at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0)
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